鰻のはなし 東と西と


長い間謎だったウナギの産卵場所が、日本列島から遠く離れたマリアナ諸島沖の西部北太平洋付近の深海であることがほぼ突き止められたということはともかく、僕は鰻が好きです。

というわけで、以下『ひととき』2013/2号「鰻裂き包丁から見えるもの」より。

鰻の開き方は東西で大きく異なる。「江戸の背割り上方の腹裂き」と言われるように、関東が背中から裂いて頭を落としてから焼くのに対し、関西は腹を裂いて頭は落とさずに焼く。中間の名古屋は腹から裂いて頭は落としてから焼く。

蒲焼きが発達した江戸時代、比較的処理がしやすい腹開きに対して、武士の都だった江戸では「腹裂きは縁起が悪いと敬遠し、武士の情けとばかりに頭を切り落とした」と言われることも多いが、純粋に技術的な問題だったのでは、というのが、東京日本橋いづもや三代目の意見。

「関東では鰻を焼くだけではなく蒸しも行う。関西のように腹から開くと、蒲焼きの両端に腹側の薄い部分の肉が来て、蒸しの最中に落ちてしまいがち。背開きにすると、身の厚い部分が両端に来るから好都合なんです。」

※写真は「ひょうたん屋 一丁目店」の鰻重。肝焼き付き!

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