だまされながら考えたこと


坂口安吾が『安吾巷談』の「湯の町エレジー」でこう書いている。
人間には、騙されたい、という本能があるようだ。騙される快感があるのである。我々が手品を愛すのもその本能であり、ヘタな手品に反撥するのもその本能だ。つまり、巧妙に、完璧に、だまされたいのである。
先日、アルトビジョンで運営している有料メルマガサービス「ビジスパ」の購読者限定イベントがあり、マジシャンであり執筆者でもある前田知洋さんのマジックを目の前で見せていただく機会に恵まれたのだが、まさに、巧妙に、完璧に、だまされた。

そのスマートさ、エレガントさといったらハンパなく、「騙される快感」を共有したせいもあるのだろうか、マジックをする前田さんを中心に、参加者の方々とスタッフとの距離もグッと近くなり、忘れられないイベントになった。

少数ではあってもコアなファンをつかむのは重要なことだと実感した。
こういうところから拡がって行くのだと思った。
ソーシャルメディアはイノベーターとマジョリティを直結する。これまではイノベーター⇒アーリーアダプター⇒マジョリティと、ある程度の時間を掛けて徐々に伝わって行ったものが、ソーシャルメディアの普及によって、イノベーターからアーリーアダプターとマジョリティとに同時に一気に伝わって行くようになるのではないか。
というようなことを最近どこかで聞いたような気がするが、何となくそんなことを思い出した。

※写真は、イベント会場からの夜景。

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